温泉とは。
まずは、温泉の基礎中の基礎という事で、”温泉とは?”と言うことについて書かせせていただきます。
さて、まずは「温泉」とはどのようなものを言うのか皆様は正しくご存知でしょうか?
そんなの誰でも知ってるよ。と思うかもしれないですが、本当にそうでしょうか。
では、簡単にではありますが説明させていただきますね。
日本には1948年に制定された「温泉法」という法律があり、その温泉法で以下の通り定義されています。
(定義)
第二条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
この定義で驚きなのが、「水蒸気その他のガスも(液体じゃなくても)温泉なのか!」という点ですよね。
私も初めて聞いた時は非常に驚きましたが、例えば間欠泉(一定の間隔のもと、熱水や水蒸気を垂直に噴き上げる現象)がそれです。
私も過去に間欠泉自体は見た事がありますが、その時には温泉の知識がなく、温泉だと思って見てはいなかったです。もったいないことをしました。
ちなみに、その他のガスで(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)とありますが、この「炭化水素を主成分とする天然ガス」とは主に石油の事を指しています。
そして、次に気になる言葉は、「別表に掲げる温度又は物質とは何?」と言う事だと思います。
やはり別表がどんなものかは気になりますよね。
その別表には以下のような事が書かれています。
(別表)
一 温度(温泉源から採取されるときの温度とする。) 摂氏25度以上
二 物質(以下に掲げるもののうち、いづれか一つ以上)
物質名 | 含有量(1kg中) |
溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1,000mg以上 |
遊離炭酸(CO2) | 250mg以上 |
リチウムイオン(Li+) | 1㎎以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10㎎以上 |
バリウムイオン(Ba2+) | 5㎎以上 |
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+) | 10㎎以上 |
第一マンガンイオン(Mn2+) | 10㎎以上 |
水素イオン(H+) | 1㎎以上 |
臭素イオン(Br–) | 5㎎以上 |
沃素イオン(I–) | 1㎎以上 |
ふっ素イオン(F–) | 2㎎以上 |
ヒドロひ酸イオン(HAsO42-) | 1.3㎎以上 |
メタ亜ひ酸(HAsO2) | 1㎎以上 |
総硫黄(S)〔HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 | 1㎎以上 |
メタほう酸(HBO2) | 5㎎以上 |
メタけい酸(H2SiO3) | 50㎎以上 |
重炭酸そうだ(NaHCO3) | 340㎎以上 |
ラドン(Rn) | 20(百億分の1キュリー単位)以上 |
ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1㎎以上 |
この別表の一に記載があるように、温泉源から湧き出たばかりの温度が25℃以上あれば温泉と言えるわけですが、25℃の温度がなかったとしても、上記の表に記載がある物質を1つ以上規定を超えて含んでいたら、それもやはり温泉(厳密には”冷鉱泉”と言います)と言えるわけです。
25℃でも冷たいですが、「温泉=あたたかい」というイメージが強いので、それより冷たかったとしても条件次第で温泉と言えるということにも驚きですよね。
ただ、この定義からも、やはり温泉は地下水とは違って沢山の物質が含まれているからこそ普通のお風呂とはしっかり違いがあるんだなという温泉そのものの力の凄さも改めて感じます。
ちなみに海外だと、温泉とする温度の定義は違うんです。
南アフリカは日本と同じ25℃以上ですが、イギリス・フランス・ドイツなど西ヨーロッパ諸国では20℃以上、アメリカは21.1℃(華氏70℉)以上、韓国や台湾は30℃以上あれば温泉と定義しているんです。
また、このような決まりがあるので「あと少し物質が多く入っていたら温泉と言えるのに!」と言うような所があるのも事実です。
それも本当に少しの差だったりすることもあるので、そう言う所はそこまで温泉との違いもないので本当に運がなかったとしか言えないですが、やっぱり地下から水が湧いて来たら温泉と言いたいですよね。
このように、”温泉とは?”というだけでも、かなり色々なルールがあったり、条件さえ揃っていれば、そもそも液体じゃなくても良い、冷たくても良いなど、少しイメージや認識と違ったなと思う方も少なくはないのではないでしょうか。